「社保完備」と書いてあった。
事前のヒアリングでも、週2勤務でも入れる前提で話が進んでいた。
それが、研修の初日にひっくり返りました。
個人事業主が社会保険料を抑えるために「社保に入れるバイト」を探す——その戦略と、実際に研修1日目で壁にぶつかった体験を書きます。同じ失敗をしないために、確認すべきポイントも整理しました。
マイクロ法人スキームの「バイト版」とは
個人事業主にとって、社会保険料は静かに効いてくるコストです。
国保は所得に連動するため、事業が伸びれば伸びるほど保険料も上がっていく。FIREを目指して稼いでも、社保料という天井が追いかけてくる感覚があります。
この問題を解決する方法として知られているのが、マイクロ法人スキームです。一人会社を作り、最低限の役員報酬を取ることで社保に加入。個人事業がいくら伸びても、社保料は最低水準に固定できます。
ただし、法人設立には費用と維持コストがかかります。節税額が小さい段階では割に合わないことも。
そこで考えたのが、バイトで社保に入る「バイト版」です。
| 項目 | マイクロ法人版 | バイト版 |
|---|---|---|
| 設立コスト | 約10〜20万円 | なし |
| 維持コスト | 法人税・税理士費用など | なし |
| 手間 | 法人の会計・申告が必要 | バイトするだけ |
| 弱点 | コストがかかる | 個人事業の時間が削られる |
| 向いている人 | 事業規模が大きい人 | 節税額が小さく法人コストが割に合わない人 |
施設警備が「三重取り」だった理由
バイト版の弱点は、働く時間だけ個人事業の時間が削られることです。週20時間バイトすれば、その20時間は事業に使えない。
ところが施設警備は、その弱点がありませんでした。
勤務時間は夕方から翌朝まで約14時間。1日数回の巡回(施錠確認など、1回30〜40分)以外は、何をしていてもいい。ゲームでも、仮眠でも、個人事業を進めても、OKです。
| # | メリット | 内容 |
|---|---|---|
| ① | バイトの給与 | 週2勤務分の賃金が入る |
| ② | 個人事業の時間維持 | 待機時間(10時間超)に事業を進められる |
| ③ | 社保獲得 | 個人事業がいくら伸びても社保料が上がらない構造 |
通常のバイトなら①と③だけ。②は犠牲になります。施設警備は②も取れる。それが「こんな仕事はなかなか見つからない」と感じた理由でした。
研修1日目に起きたこと——「社保完備」でも入れないケース
研修初日、社保の手続きを確認しようとしました。
「あなたは社保には入れません」
目の前が真っ白になりました。求人票には「社保完備」と明記されていたのに。
原因は、企業規模要件でした。
短時間労働者の社保加入要件(2026年4月時点)
週30時間未満の短時間労働者が社保に加入するには、以下の5つすべてを満たす必要があります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 労働時間 | 週所定労働時間が20時間以上 |
| 賃金 | 月額88,000円以上(2026年10月以降撤廃予定) |
| 雇用期間 | 2ヶ月以上の見込み |
| 学生 | 学生でないこと |
| 企業規模 | 厚生年金被保険者数が51人以上の企業 |
今回引っかかったのが最後の「企業規模要件」です。
会社のホームページには「社員50名」と記載されていました。51人に、1人足りない。
51人未満の企業では、週30時間以上働かないと社保に加入できません。週2勤務(週28時間程度)では届かなかった。税理士に確認しても「加入不可」でした。
「社保完備」は嘘ではありません。ただし、短時間勤務者には企業規模要件という別の壁がありました。
2026〜2035年の社保適用拡大ロードマップ
この状況は、今後段階的に変わります。2025年6月成立の「年金制度改正法」により、適用拡大が進む予定です。
| 時期 | 改正内容 |
|---|---|
| 2026年10月 | 月額賃金要件(月88,000円=106万円の壁)を撤廃 |
| 2027年10月 | 企業規模要件を「51人以上」→「36人以上」に縮小 |
| 2029年10月 | 個人事業所(常時5人以上)の業種制限を撤廃 |
| 〜2035年10月 | 企業規模要件を完全撤廃 |
今回の職場は「社員50名」。2027年10月に要件が「36人以上」に引き下げられれば、状況が変わる可能性があります。今の判断は暫定解として捉えています。
求人を選ぶ前のチェックリスト
同じ失敗を繰り返さないために、社保加入を目的に求人を探す場合は以下を事前に確認してください。
- 週所定労働時間が20時間以上になるか
- 月額賃金が88,000円以上になるか(2026年10月以降は撤廃予定)
- 雇用期間の見込みが2ヶ月以上か
- 企業の厚生年金被保険者数が51人以上か(ここが最重要)
- 「社保完備」と書いてあっても、短時間勤務でも加入できるか事前に確認したか
企業規模の確認は、求人票の「社員数」だけでは不十分です。採用担当者に直接「短時間勤務でも社保に加入できますか?」と聞くのが一番確実です。
まとめ
今回の体験から学んだことは、シンプルです。
「社保完備」という言葉を鵜呑みにしない。短時間勤務の場合は、企業規模要件を必ず事前に確認する。
施設警備という仕事自体は、給与・事業時間・社保の三重取りを狙える稀な選択肢です。ただし、企業規模だけは自分で確認しないと、研修初日に同じ目に遭います。
詳しい体験談はnoteに書いています。数字の裏側や、その日の感情をそのまま書きました。
▶ 「社保完備」のはずが入れなかった。研修1日目に、目の前が真っ白になった話。
⚠️ 本記事は一般的な制度情報をもとに構成しています。実際の判断は税理士・社労士にご相談ください。

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